江古田鐵道 DCC&HOのブログ

DCCとHOゲージのブログです 車両は旧国鉄中心です

Schedule、Dispatcherの作成(3) 衝突防止の仕組み

 動画を見ていただくと、列車が自動的に停車し衝突を防いでいるのがごらんになれたと思います。なぜPCで自動運転すると衝突しないのでしょうか?

基本的な仕組みは実際の列車と同じ仕組みを使っています。実際の列車では「閉そく区間」という考えで作られています。詳細は鉄道総合技術研究所が公開している鉄道技術用語辞典 第3版をご覧いただくとして、「閉そく」とは ”列車の衝突を防ぐために、一定の区間に1列車のみを占有させ、ほかの列車がその区間に進入することを禁止すること、1列車のみが占有を許される区間を閉そく区間という” と書かれています。「閉そく」を英語では「block」または「blocking」と言います。TrainControllerの「Block」はまさしく「閉そく」を表しています。「閉そく区間」は正確には「Block Section」と言うようですがここでは「Block」と表記します。

f:id:ekodaoyaji:20191111172629j:plain

 この図は以前にも示した図ですが、4列車が停車しているときのSwitchboardの状況です。実はこの図が各Blockがどこにあるか示しています。内廻りは本線、待避線とも4つのBlockがあり、外廻りは本線では6Block、待避線で7Blockあるのが表現されています。前回まではScheduleのSwitchboardで個々のScheduleがどの経路を通過するかハイライトされていました。実際にScheduleを起動するとハイライトの色が変わりますが薄い黄色で少々見にくい色になっています。また、複数のScheduleを起動してもScheduleのSwitchboardでは一個のScheduleしか表示しませんので、切り替えて表示することになります。一方メインのSwitchboardには全体が表示されます。

f:id:ekodaoyaji:20191122104534j:plain

このSwitchboardはSchedule1 ”OSS2 to OSM via IN" とSchedule2 "ISM to ISM" を起動している画面です。

現在列車が在線するBlockが赤でハイライトされています。ここからが重要な点ですが、それぞれのScheduleで指定されている経路の二つ先のBlockまで列車の名前とマークが薄く表示されています。その意味合いは、薄く表示されたBlockまで「閉そく」され、他の列車が進入することが出来ません。キハ58系冷房(Schedule1 ”OSS2 to OSM via IN")がBlock"OW2"で停車したのは、OW2の後INに入りますが、ひばり100(Schedule2 "ISM to ISM" )が既にINを占有しており、ひばり100がINを通過するまで進入出来ないためです。

次のSwitchboardはひばり100が通過し、Block”ISM"に戻り停車しています。INがあいたためにキハ58系冷房(Schedule1 ”OSS2 to OSM via IN")がINに停車しています。INで10秒停車するように設定しています。

この時点で別のキハ58系非冷房(Schedule3"OSM to OSS2")が動いており、”OW1"に在線しています。"OW2"と"ON"を「閉そく」していますが、キハ58系冷房が

"OE2","OE1"を「閉そく」しているためキハ58系冷房が通過するまでキハ58系非冷房は"ON"で停車します。

f:id:ekodaoyaji:20191122113547j:plain

前回まで記載していない新しいSchedule4 "ISS to ISS"は単純に内廻りを一周するものです。上図では"ISS"にいた485系初期型が出発していますが、"IE"に停車しています。"IN"にキハ58系冷房が停車しているためです。Block "IE" の下側をよく見ると赤信号がついていることがわかると思います。

このようにTrainControllerでは "Block"を設定することにより、衝突することなく自動運転を行っています。